医療用マリフアナ(大麻)関連銘柄で構成される史上初の上場投資信託(ETF)の資産総額が上場後わずか2週間で1億カナダドル(約81億円)を突破した。これには大麻ETFの設立に携わった関係者も驚いている。
業界ウオッチャーたちは、仮にこのペースで成長し続ければ、人気のETFが小さな市場に過剰に投資するとどうなるかを検証する最新の実験となる可能性があると話す。
ホライズンズ・メディカル・マリフアナ・ライフ・サイエンシズETF(ティッカーはHMMJ)には北米市場に上場している大麻関連15社が組み込まれている。ホライズンズETFsマネジメントが設定した大麻ETFは、同社が運用している77本のETFのなかですでに11番目の運用資産規模となっている。大麻ETFは上場後の数日間に最大16%のリターンが出るほど上伸したが、その後は徐々に戻し、上場来のリターンは5.4%となっている。
この大麻ETFには有の魅力があると投資家は話す。カナダでは大麻産業が急成長しているが、嗜好用大麻が合法化されれば一層の成長が見込めるためだ。同国では今月、嗜好用大麻を合法化する法案が提出されたところだ。
「そのセクターに多くの潜在的な関心があることは分かっていたが、設定してすぐにこれほど成功するとは予想していなかった」。ホライズンズETFsマネジメントのスティーブ・ホーキンス社長兼共同最高経営責任者(CEO)はそう話す。
それと同時にこの大麻ETFは、 まだ黎明(れいめい)期にあり、ほとんどの銘柄の時価総額がかなり小さい大麻産業への門戸を一般投資家に開く商品にもなっている。ホライズンズによると、昨年の北米における医療用大麻の売上高は67億米ドル(約7400億円)だったという。ETFの本数を増やす場合は組み入れ銘柄を買い増す必要がある。
調査会社ファクトセットによると、組み入れ15銘柄のうち時価総額が10億米ドルを上回るのは3銘柄にとどまる。時価総額が最も小さいのは医療・嗜好用大麻を生産しているICCインターナショナル・カナビスで、4000万カナダドルである。同社のウェブサイトによると南米で最大の合法的な大麻畑を所有しているという。
投資調査会社ETFドット・コムのデーブ・ナディグCEOは、大麻ETFに組み入れられている銘柄は「ほとんどが非常に小さな企業だ」としたうえで、「そのETFの規模が大きくなり過ぎると、重大な問題が生じる可能性がある」と話す。
その他の組み入れ銘柄には園芸用品メーカーのスコッツ・ミラクル・グローや、ラッパーで俳優のスヌープ・ドッグさんと提携している多角経営の大麻企業、キャノピー・グロースなどがある。
4月12日時点で組み入れ比率が最も高かった銘柄はオーロラ・カナビスで、先週半ばの取引終了時点の時価総額は7億9600万カナダドルだった。同社株がそのETFに占める割合は10%強。バンクーバーに拠点を置くオーロラはさまざまな種類の医療用大麻を生産している。
大麻ETFによって同社株の取引が促進されてきたとの声もある。というのも、同社が上場した2007年以来で出来高が最も多かった6取引日のうち、3取引日は大麻ETFの設定以降だったからだ。
カナダの金融サービス会社 マニュライフ ・アセット・マネジメントでシニアポートフォリオマネジャーを務めるテッド・ホワイトヘッド氏は「その影響で同社株の出来高は増加してきた」と述べた。同氏のファンドはオーロラを含む大麻関連銘柄に投資している。「そのETFのおかげで、このセクターはより注目されるようになるだろう」
従来の基準に照らすと大麻ETFの規模はまだ小さい。しかし、このペースで資産を集めていけば、この投資商品が大麻関連セクターに及ぼす影響が大きくなり過ぎてしまうのではないかとの疑問が浮上するのは間違いない。一部のアナリストは、小規模な資産に投資しているETFへの大量の資金流入が組み入れ銘柄のボラティリティを高めたり、投資家のセンチメントの変化に応じて大金が流出入することで、流動性が低めの超小型株が乱高下したりする可能性について懸念している。
ホライズンズのホーキンス社長によると、大麻ETFは今のところポートフォリオに各大麻会社の株式をごく少数しか保有していない。加えて、上場企業が増えているため、6月に四半期ごとのリバランス(銘柄組み替え)を実施すれば、組み入れ銘柄数は20を超える見通しだという。
「このセクターはまだ若いが、進化の途上にあり、多くの企業が引きも切らずに参入している」とホーキンス社長は述べた。
参考:WALL STREET JOURNAL – 大麻ETFの資産急増、過剰投資に懸念も
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