若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情


若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2016年、イタリアのトッレマッジョーレ。穀類、果物、野菜の栽培農家を経営するアントニオ・セロッツィさんが、所有する5ヘクタールの産業用ヘンプ(大麻のうち、精神活性成分を含まない品種)畑をラケレ・インベルニッチさんと歩く。

 写真家マテオ・バスティアネリ氏は、イタリアの麻薬事情をみっちり取材した。

 南部の町レッチェでは、警察による麻薬捜査に密着。違法取引の強制捜査に立ち会い、4トンもの押収大麻が焼却されるのを目の当たりにした。

 時には、地元の人々と座って話し込んだり、アパートに招待されたり、用事を済ませるのに付き合ったりもした。「長期プロジェクトに取り組む際は、地元の生活に溶け込むことも必要です。それには、人々に受け入れてもらわなければなりません」と、バスティアネリ氏は語る。

 イタリアにおける大麻の様々な側面を記録した最新の成果は、「Green Gold」と題され、ナショナル ジオグラフィック誌イタリア版の表紙を飾った。イタリアでは、大麻は盛んな産業であると同時に、違法取引される薬物であり、さらには医療目的や嗜好品として消費される商品でもあるなど、様々な側面を持つ。

若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2016年、イタリアのタルサノ。自動車事故で四肢麻痺となったアルベリコ・ノビレさん(36歳)。自宅で友人のヴィンチェンツォさんの助けを借りて大麻を吸引する。アルベリコさんの両親と友人は、治療のため1時間おきに大麻を紙に巻いてアルベリコさんに吸引させている。

 大麻を研究するなら、イタリアへ行くとよい。20世紀前半には大麻の主要な生産国だったが、その後禁止令や合成素材の登場で生産は縮小し、消費も落ち込んだ。政府は様々な規制を設けたが、取り締まりは厳しくなったり逆に緩和されたりと首尾一貫せず、混乱が生じた。近年、イタリアの違法薬物政策局が国内で15~19歳の若者を対象に大麻使用の有無を聞いたところ、23%が使用を認めたという。警察が押収する違法大麻はほんのわずかな量で、残りは全て犯罪組織の懐を潤している。こうした犯罪組織は、利益の70%を麻薬の密売によって得ているという。

大麻をめぐるそれぞれの立場

 合法的な大麻産業も、まだ残っている。バスティアネリ氏は、プーリア州カスティリオーネ・ドトラントに近い畑で農作業をしていた若者たちに話を聞いた。彼らは、町で給料の高い仕事を探すよりも、自分たちの土地で大麻を育てて生活するほうが良いと語った。ほかにも、病気の治療目的で大麻を使用する患者や規制緩和を求める地元の団体と面会し、密売人を追う警察官に同行した。誰もが、それぞれ明確な目的を持っているようだった。

 病気治療に大麻を使用する人々のなかには、進んで写真撮影に応じる者もいた。「メディアはしばしば、医療用大麻の使用者と嗜好目的の使用者を混同してしまうため、患者の多くは世間に誤解されていると感じています」と、バスティアネリ氏は語る。「この問題を真剣に取り上げ、深く掘り下げた分析を正しく行わないと、そういうことになってしまうのです」

 イタリアでは、処方箋があれば薬局で大麻を合法的に購入することができる。だが、厳しすぎる規制が価格をつり上げ、結果的に多くの人が闇市場で手に入れたり、自分で育てたほうが安上がりだと感じている。バスティアネリ氏が取材したアンドレア・トリシューリオさん(38歳)は多発性硬化症を患い、これまで様々な治療法を試みてきた。しかし、10年前から大麻を使用するようになって、再び歩くことができるようになった。36歳のアルベリコ・ノビレさんは15歳の時に四肢麻痺となり、1時間おきに大麻を必要とする。トリシューリオさんは、『ラピアン・ティアモ』という支援団体を立ち上げ、個人が医療用大麻を購入しやすくなるよう働きかけ、また大麻への世間の誤解を解くための活動も行っている。

 バスティアネリ氏は、次にアルバニアとモロッコが関わる国際的な大麻の密輸取引に焦点を当てる予定だ。最終的には、全ての取材をひとつにまとめて本を執筆し、また主に学生を対象にした展示を各地で開きたいと願っている。

「教育は、扇情的になることなく知識を広めてくれます。人々の心に訴えかけたい、そして同時に私たちが何者であるか、大人になったときにどんな人間になりたいか、環境とどう付き合っていくか、といった問題を提起したい場合に有効な手段です。教育は、私たちを取り巻くすべての現実を理解する手助けをしてくれます」

若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2016年、イタリアのフィレンツェ。軍の化学製薬工場で栽培されている大麻草は、農林政策省が補助金を出すロビゴの産業作物研究センターから無料で支給されたもの。

若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2016年、イタリアのサラチネスコ。『サラチネスコ・ヘンプ』プロジェクトの畑で収穫された大麻草から、花冠を取り分ける青年たち。

若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2016年、イタリアのサラチネスコ。『サラチネスコ・ヘンプ』プロジェクトのために集められた大麻草の花冠。専用の部屋でこのように乾燥させる。

若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2016年、イタリアのローマ。自宅で栽培する大麻草の前に立つクリスチャン・フェリさんは、2006年に自動車事故に遭って以来、不安神経症を患っている。処方箋はあるが、薬局で医療用大麻を買うだけの金銭的余裕がないので、自宅で大麻を育てているという。

若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情
2017年、イタリアのローマ。友人同士が集まって嗜好目的の大麻を吸引する。ヨーロッパ薬物依存監視センターの2016年年次報告によると、ヨーロッパでは過去に一度でも大麻を使用したことのある人が8300万人に上るという。

参考:National Geographic 日本版 – 若者の23%が経験あり、イタリアの大麻事情

少し前に記事を掲載したウルグアイのように、誰もが手軽に大麻を活用できる世の中が一番幸せなのかもしれませんね。

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