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大麻と日本人の伝統的生活



北海道 大麻神社
「大麻」は日本人の生活のなかで、幅広く利用されてきた。繊維は衣服として利用され、種は稲・大豆・小豆・大麦などとともに食用として九穀のひとつに数えられ、その油は食用や灯油として利用されてきた。また座布団・草履・のれんなどの日用品、あるいは建材として、さらに宗教儀式においても頻繁に利用されてきた。「大麻」は用途に応じて様々な言葉となって、日本語のなかに残った。それらを掘り起こすことにより、日本人の生活と大麻の深い関係が見えてくる。以下は岩波書店の広辞苑(第4版)の電子ブック版から検索したものである。大麻と名のつく神社の写真も紹介していくのでご覧ください。


あさ【麻】
 (1)
 (イ)大麻(タイマ)・苧麻(カラムシ)・黄麻・亜麻・マニラ麻などの総称。また、これらの原料から製した繊維。糸・綱・網・帆布・衣服用麻布・ズックなどに作る。お。
 (ロ)クワ科の一年草。中央アジア原産とされる繊維作物。茎は四角く高さ一〜三メ-トル、葉は長柄、小葉五〜九枚から成る掌状複葉。雌雄異株。夏、葉腋に単性花を生じ、花後、痩果(おのみ)を結ぶ。夏秋の間に茎を刈り、皮から繊維を採る。実は鳥の飼料とするほか、緩下剤として摩子仁丸の主薬とされる。紅花・藍とともに三草と呼ばれ、古くから全国に栽培された。インド原産のインドタイマはハシーシュ・マリファナの原料。大麻。あさお。お。<季・夏>。万九「小垣内(オカキツ)の―を引き干し」
 (2)麻布の略。

あさ‐いと【麻糸】
 麻の繊維で製した糸。

あさうら‐ぞうり【麻裏草履】‥ザウ‥
 麻糸の平打ちの組緒を渦巻きにして裏につけた草履。
大麻神社境内

あさおり‐もの【麻織物】
 苧麻(カラムシ)・大麻・亜麻などの繊維で織った織物。夏の衣服用。

あさ‐がみしも【麻上下】
 麻布で作った裃(カミシモ)。江戸時代の武士・庶民の通常礼服。小紋染で、紋
所をつけた。

あさ‐かり【麻刈り】
 夏の土用の頃、麻を根元から刈ること。葉や枝を取り去り、皮を採って干す。
<季・夏>

あさ‐ぎぬ【麻衣】
 (1)麻布でつくった着物。万九「―に青衿(アオクビ)つけ」
 (2)喪中に着る麻布の着物。万一三「―着(ケ)れば夢かもうつつかもと」

あさ‐ごろも【麻衣】
 麻でつくった着物。喪服にも用いる。あさぎぬ。あさのきぬ。

あさ‐ざぶとん【麻座蒲団】
 麻地で作った座蒲団。薄くて感触が涼しい。<季・夏>
東京都 北沢八幡神社

あさ‐ずきん【麻頭巾】‥ヅ‥
 麻布製の頭巾。夏季用。

あさ‐で【麻布・麻手】
 麻で織った布。あさぬの。

あさで‐こぶすま【麻手小衾】
 麻布でつくった寝具。あさぶすま。万一四「夫(ツマ)よし来せね―」

あさ‐なわ【麻縄】‥ナハ
 麻糸をよって作った縄。

あさ‐ぬさ【麻幣】
 麻でつくったぬさ。祓(ハラエ)に用いる。

麻の中の蓬(ヨモギ)
 [荀子勧学「蓬生麻中不扶而直」] まっすぐに伸びる麻の中に生えれば、曲が
りやすいヨモギも自然にまっすぐ伸びる。人も善人と交われば、その感化を受け
て善人となる。

あさ‐の‐み【麻の実】
 アサ(大麻)の果実。色は黒く、形は円い。かみつぶせば一種の芳香がある。薬
用また食用。

あさ‐ぶすま【麻衾】
 麻布でつくった夜具。粗末な夜具。万五「寒くしあれば―引き被(カガフ)り」
麻蒔(マ)く
 三〜四月頃、麻の種を蒔く。<季・春>

あさみ‐ゆ【麻実油】
 麻の種子をしぼって採った乾性油。おのみあぶら。大麻油。

あさも‐よし【麻裳よし】
(紀伊国からよい麻を産出したので) 「き(紀・城)」にかかる。

うち‐そ【打麻】
 麻を打って柔らかくしたもの。うつそ。万一二「少女らが績麻(ウミオ)のたた
り―懸けうむ時なしに恋ひ渡るかも」
徳島県 大麻比古神社
 
いと‐やど【糸宿】
 娘宿の一種。麻や綿から糸を取るため娘たちが夜業をしに集まる家。糸引宿。
よなべ宿。

いなり‐ずし【稲荷鮨】
 甘煮の油揚げの中に、酢飯をつめた料理。酢飯にゴボウ・ニンジンなどを刻ん
で煮たものや炒った麻の実をまぜたものもある。しのだずし。

いろ‐かみしも【色裃】
 (1)葬送の際に着る麻上下(アサガミシモ)。
 (2)歌舞伎の衣裳。時代物の若侍が着る美しい色模様のある上下。「十種香」
の勝頼などが着る。

いわ‐ぐつ【いは沓】イハ‥
 麻で作ったわらじ。麻沓(オグツ)。

うめがえ‐でんぶ【梅枝田麩】
 きざみ鯣(スルメ)に、梅肉少量と、麻の実、山椒の粉を少し入れて、酒と醤油
とで煮て、鰹節の粉末とよくまぜたもの。また、田麩(デンブ)の異称。うめが
か。

えちご‐じょうふ【越後上布】エチ‥ジヤウ‥
 江戸時代、越後国小千谷付近から苧(カラムシ)の繊維を用いて織り出した上質
な麻織物の総称。雪晒しに特徴がある。

お【麻・苧】ヲ
 (1)アサの古名。
 (2)アサ・カラムシの茎の周辺部の繊維からつくった糸。霊異記下「―の縄を
二つの足に繋ぎ」

お‐がら【麻幹・苧殻】ヲ‥
 アサの皮をはいだ茎。盂蘭盆(ウラボン)のかざりに用い、また、迎え火などに
焚く。

お‐ぐつ【麻沓・麻鞋】ヲ‥
 麻でつくったわらじ。けわしい所も歩けるので軍用にもされた。いわぐつ。麻
鞋(マガイ)。

大麻比古神社境内
お‐づな【苧綱】ヲ‥
 麻でつくった綱。和船の綱具として最上。

お‐つぼ【苧坪】ヲ‥
 麻を作るための一定の畑。あさじり。

お‐ふ【麻生】ヲ‥
 麻の生えている地。麻畑。万一二「桜麻の―の下草露しあれば」

お‐ぼけ【苧桶】ヲ‥
 績(ウ)んだ麻を入れる容器。苧小笥(オゴケ)。

お‐み【麻績】ヲ‥
 (オウミの約) 麻をうむこと。また、それを職業とする人。万一六「打つ麻(ソ
)やし―の児ら」

おも‐ずら【羈】‥ヅラ
 轡(クツワ)を用いずにひくため、馬の鼻の上にかける麻または<クサリ>の
緒。

○快刀乱麻を断つ
 [杜甫、戯題画山水図歌「焉得并州快剪刀剪取呉松半江水」](切れ味のよい刀
剣で、乱れもつれた麻を切る意) 紛糾して解決の糸口を見失った物事を、てきぱ
きと手際よく処理すること。単に「快刀乱麻」とも。

かき‐しぶ【柿渋】
 渋柿の実から採取した液。木や麻・紙などに塗って防水・防腐用とする。

かた‐まふ【片麻布】
 経(タテ)は綿糸、緯(ヨコ)は麻の紡績糸で織った布。衣服または夏の座蒲団地
として用いる。

かみ‐ばた【上機】
 麻や紬(ツムギ)を織るのに用いる機。木綿を織るのに用いる下機に対してい
う。大和機(ヤマトバタ)。浮、俗つれづれ「下女に―織らせ」

からあや‐おどし【唐綾縅】‥ヲドシ
 鎧(ヨロイ)の縅の一。唐綾を細く裁ち、内に麻を入れて畳んでおどしたもの。
白・黒・紺・朽葉色など種々ある。

大麻山県立自然公園
かわ‐はらえ【川祓】カハハラヘ
 夏越(ナゴシ)の祓(ハラエ)に、水辺に斎串(イグシ)を立てた川社で行う祓。麻
の葉を切った幣(ヌサ)を川へ流すこともある。<季・夏>

がん‐もどき【雁擬き】
 (雁の肉にを似せたものの意) 油揚げの一種。昔のは麩(フ)を油で揚げたも
の。今のは豆腐を崩して、つなぎにヤマノイモ・卵白などを加え、細かく刻んだ
ゴボウ・ニンジン・ギンナン・アサの実などを混ぜて丸め、油で揚げたもの。飛
竜頭(ヒリヨウズ)。がんも。

ぎ‐ま【擬麻】
 綿糸、特にガス糸やシルケットに加工し、麻糸に似た手触りと質感を付したも
の。麻の代用織物、シャツ地・ハンカチーフ地・浴衣地などを織る。

きゅう‐こく【九穀】キウ‥
 稷(ウルチキビ)・黍(モチキビ)・粟(アワ)・稲・麻・大豆・小豆・大麦・小麦
の九種の穀物。

きり‐ぬさ【切麻・切幣】
 麻または紙を細かに切って米とかきまぜ、神前にまきちらすもの。こぬさ。

くわ‐か【桑科】クハクワ
 双子葉植物の一科。比較的原始的な群とされる。新旧両大陸の熱帯地方を中心
に約五五属千四百種、わが国に一五種ほどが知られる。クワ・アサ・コウゾなど
の繊維用植物のほか、ホップ・イチジク・パンノキなど有用植物が多い。

こう‐しょう【行障】カウシヤウ
 祭祀行幸または葬送などの時、御輿や霊柩の前後左右などを覆う白布(絹・
麻・木綿など)。歩陣(ブジン)。歩帳。こうぞう。

さつま‐じょうふ【薩摩上布】‥ジヤウ‥
 上質な麻織物の一。沖縄県宮古・八重山の諸島で製織されてきた上布が、貢納
品として薩摩に送られ、この名で諸方に販売された。宮古は紺地絣を、八重山は
白地絣や赤縞を特徴としてきた。

さん‐そう【三草】‥サウ
 (1)実生活に有用な三種の草。麻・紅花・藍、また、麻・藍・木綿の称。
 (2)古今伝授中の「かはなぐさ」「くれのおも」(または「さがりごけ」)「め
どにけづりばな」の称。古今集巻一○物名によまれている。

さん‐ぱ【撒播】
 (サッパの慣用読み) 種子を田畑の全面に一様に播き散らす播種法。牧草・麻
などで行われる。

しず【倭文】シヅ
 (奈良時代にはシツと清音) 古代の織物の一。かじ・麻などの緯(ヨコイト)を
青・赤などで染め、乱れ模様に織ったもの。あやぬの。しずはた。しずり。しず
ぬの。倭文織。万一七「神のやしろに照る鏡―に取り添へ乞ひのみて」

○姑の前の見せ麻小笥(オゴケ)
 姑に対する嫁の見せかけの働き、また、人前で体裁を作って働くふりをするの
にたとえる。麻小笥は績(ウ)んだ麻を入れるまげもの。

しら‐か【白香】
 麻やコウゾの類を細かく裂いて白髪のようにしたもの。神事に用いる。万一九
「四の船はや還り来と―つけわが裳の裾にいはひて待たむ」

す‐おう【素襖】‥アヲ
 直垂(ヒタタレ)の一種。大紋から変化した服で、室町時代に始まる。もと庶人
の常服であったが江戸時代には平士(ヒラザムライ)・陪臣(バイシン)の礼服とな
る。布地は麻で、定紋を付けることは大紋と同じであるが、胸紐・露・菊綴(キ
クトジ)が革であること、袖に露がないこと、文様があること、袴の腰に袴と同
じ地質のものを用い、左右の相引と腰板に紋を付け、後腰に角板を入れることな
どが異なる。袴は上下(カミシモ)と称して上と同地質同色の長袴をはくのを普通
とし、上下色の異なっているのを素襖袴、半袴を用いるのを素襖小袴という。素
袍。

す‐ごも【食薦・簀薦】
 (スコモとも) 食膳または机の下に敷く敷物。古く穉薦(ワカゴモ)を麻で編ん
で作り、大饗(ダイキヨウ)には竹を簾のように編んで白い生絹(スズシ)を裏につ
けた。清浄な場所を設ける時に敷く。

すさ【寸莎】
 壁土にまぜて亀裂を防ぐつなぎとする繊維質の材料。普通、荒壁には刻んだ藁
(ワラ)、上塗りには刻んだ麻または紙を海草の煮汁にまぜて用いる。壁すさ。す
さわら。つた。すた。〈日葡〉

すず‐かけ【篠懸・鈴掛】
 (1)修験者(シユゲンジヤ)が衣の上に着る麻の衣。深山の篠(スズ)の露を防ぐ
ためのものという。すずかけごろも。
 (2)能楽で、山伏の扮装に付属する結袈裟(ユイゲサ)のこと。
 (3)〔植〕スズカケノキに同じ。

せきめん‐し【石綿糸】
 石綿の繊維を綿・絹・麻繊維と混じて紡績し、これらの繊維を焼いて除いたも
の。耐火性に富む。

せすり
 麻などで作った帷子(カタビラ)。〈日葡〉

せんい‐さくもつ【繊維作物】‥イ‥
 織物・紙・綱などの原料繊維を得るために栽培する植物。ワタ・アサ・アマ・
カラムシ・コウゾ・ミツマタ・イの類。

そ【麻】
 「あさ」の古名。複合語として用いる。「夏―引く」「天つ菅―」

そ‐よう‐ちょう【租庸調】‥テウ
 唐の均田法下の税制。丁男(テイダン)に対して課した現物税。租は粟二石、庸
はもと年二○日間の力役が一日につき絹三尺に換算されたもの、調は土産の絹二
丈と綿(マワタ)三両、または麻布二・五丈と麻三斤。のち両税法がこれに代っ
た。わが国でも大化改新に同様のものを制定。

たかみや‐じま【高宮島】
 近江国高宮から織り出した麻織物。浮、好色産毛「―の洗帷子に」

たかみや‐ぬの【高宮布】
 彦根市高宮から産出する麻織物。

た‐なし【手無・袖無】
 筒袖の仕事着。麻などで作った襦袢のようなもの。

たれ‐むし【垂蒸】
 麻のれん。男色大鑑「―の数くぐりて、絹張りの障子引きあけて」

だん‐つう【緞通・段通】
 (「緞通」「段通」は、中国語「毯子(タンツ)」に対する当て字) 地糸に綿・
麻または羊毛などの毛を用いた厚い敷物用パイル織物。種々の織込糸を用いて模
様をつける。中国・インド・ペルシアの原産で、わが国へは毛氈(モウセン)と共
に中国から輸入。江戸時代、佐賀・堺・赤穂で生産を開始。

ちぢみ‐おり【縮織】
 緯糸(ヨコイト)にやや強い撚糸(ヨリイト)を用いて織り、のち、練って皺寄(
シワヨセ)をして布面全体に細かい皺を生じさせた織物。麻・木綿・絹などさま
ざまな種類がある。

ちゃ‐きん【茶巾】
 点茶の際、茶碗を拭うのに用いる麻の布。また、炭手前で釜をぬぐったりする
のにも使う。

ちよ‐がみ【千代紙】
 麻の葉や鹿の子の花紋など種々の模様を色刷りにした手工用の和紙。「―を折
る」

つ‐もじ【津綟子】‥モヂ
 津市付近で生産された麻織物。経(タテ)緯(ヨコ)とも撚(ヨリ)の強い麻糸で目
を粗く平織としたもの。夏羽織用。綿糸を使ったものは肌着用。

てんねん‐せんい【天然繊維】‥イ
 綿・麻などの植物繊維および絹・羊毛などの動物繊維の総称。→合成繊維。

とう‐ま【稲麻】タウ‥
 (1)稲と麻。
 (2)稲麻竹葦(チクイ)に同じ。太平記二六「―の如く打囲ふだり」

とうま‐ちくい【稲麻竹葦】タウ‥イ
 [法華経方便品](イネとアサと、タケとアシとの入り乱れる意)
 (1)多くの物が群がって入り乱れるさま。平家三「余に人参り集ひて、たかん
なを込み―のごとし」
 (2)幾重にも取り囲んで立ち並ぶさま。太平記三「残る二十万騎―の如く城を
取り巻いてぞ責めたりける」

とうろう‐ぶね【灯籠舟】
 麻・麦のわらやマコモなどで舟の形に作り、盆の終りの日に川や海に流す舟。
送り舟。精霊舟(シヨウリヨウブネ)。盆舟。

とくよう‐さくもつ【特用作物】
 食用以外の特定の用途に供する農作物。煙草・桑・茶・麻・藍・棉・藺(イ)の
類。

ドンゴロス【dungarees】
 (1)麻などで織った粗布。麻袋。
 (2)粗末な服。

なつ‐そ【夏麻】
 夏、麻畑からとった麻。頼政集「山里に―引き折る咳(シワブル)ひ人」
 ―‐びく【夏麻引く】

なつ‐のれん【夏暖簾】
 夏期専用の暖簾。麻や木綿の透き通ったものが多い。<季・夏>

なないろ‐とうがらし【七色唐辛子】‥タウ‥
 香辛料の一。蕃椒(トウガラシ)・胡麻・陳皮(チンピ)・罌粟(ケシ)・菜種・麻
の実・山椒(サンシヨウ)を砕いてまぜたもの。しちみとうがらし。

なら‐そ【奈良麻】
 奈良晒の原料にする麻(アサ)。ならお。

にき‐て【和幣・幣・幣帛】
 (ニキタヘの約。後世、ニキデまたニギテとも) 神に供える麻の布の称。後に
は絹または紙を用いた。ぬさ。みてぐら。〈神代紀上訓注〉

にわ‐に‐たつ【庭に立つ】ニハ‥
 (庭に生える意から) 「あさ(麻)」にかかる。

ぬさ【幣】
 (1)麻・木綿・帛または紙などでつくって、神に祈る時に供え、または祓(ハラ
エ)にささげ持つもの。みてぐら。にぎて。幣束。記中「更に国の大―を取り
て」
 (2)贈り物。増鏡「上下色々の―多かりし中に」

ぬの【布】
 (1)麻・葛(カズラ)などの繊維で織った織物。古くは絹に対していい、近世以
後、もめんも含む。万一○「たなばたの五百機(イオハタ)立てて織る―の」。

ねりぬき‐おどし【練貫縅】‥ヲドシ
 練貫を細くたたみ、麻を芯としておどした鎧(ヨロイ)の縅。

のと‐ちぢみ【能登縮】
 能登国鹿島・羽咋(ハクイ)地方から産する麻織物。能登上布。阿部屋縮。

はく‐ま【白麻】
 (1)「いちび」のこと。
 (2)唐代、翰林が天子の内勅を奉じて書き記すのに用いた白い麻の紙。転じ
て、天子の勅書。
 (3)白い紙。日葡「ハクマヲケガス」(自分の悪筆で紙をよごす意で、書くこ
と。手紙に用いる謙遜した言い方)

はち‐こく【八穀】
 稲・黍(キビ)・大麦・小麦・大豆・小豆・粟・麻の八種の穀物。はっこく。

はつ‐お【初麻】‥ヲ
 その年初めて収穫した麻(アサ)の繊維。一説に、「極尾」で、鳥の尾の中でい
ちばん長い尾。しだりお。万一四「山鳥の尾ろの―に鏡懸け」

ふ【布】
 (1)ぬの。おりもの。絹以外の楮(コウゾ)や麻など植物性繊維の織物、すなわ
ち太布(タフ)・麻布などの総称。古代では多く絹は上流の者が用い、庶民は布を
用いた。続紀九「戸頭の百姓に種子各二斛、―一常、鍬一口を給して」。「―
帛」「綿―(メンプ)」「敷―」
 (2)広く知らせること。行きわたらせること。しくこと。「―告」「―教」
「―陣」「公―」
 (3)中国、周代の青銅貨幣。

へい‐ぐし【幣串】
 祓(ハラエ)に用いる串で、麻・木綿(ユウ)などを掛けた榊(サカキ)や竹。

へい‐そく【幣束】
 (1)神に捧げる物。にきて。ぬさ。
 (2)裂いた麻や畳んで切った紙を、細長い木に挟んで垂らしたもの。御幣(ゴヘ
イ)。

ヘンプ【hemp】
 麻(アサ)。

ほそ‐びき【細引】
 (1)麻を撚(ヨ)り合せた細い丈夫な縄。細引縄。ほそ。〈日葡〉。「―で縛
る」
 (2)料理などで、細長く切ったもの。
 ―‐あみ【細引網】

ほろ‐みそ【法論味噌】
 焼味噌を日に乾かして、細かく刻んだ胡麻・麻の実・胡桃(クルミ)・山椒など
をまぜたもの。
 ―売りの夕立

ま【麻】
 (1)あさ。また、あさいと。あさぬの。「大―」「―布」
 (2)あさの類。「亜―」「胡―」
 (3)(「痲」の通用字) まひすること。しびれること。「―痺」「―酔」「―
薬」

ま‐え【麻衣】
 あさのころも。太平記三九「玉体を―草鞋に窶し」

まき‐づる【巻弦】
 弓の弦の上を絹または麻の糸で巻き包んだもの。

ま‐さんぎん【麻三斤】
 〔仏〕禅語。三斤の麻。僧衣一着分に当る。「如何なるか是れ仏」に対する答
の一。

ま‐し【麻糸】
 麻の繊維からとった糸。あさいと。

ま‐そ【真麻】
 麻の美称。「―群(ムラ)」「―木綿(ユウ)」

まそ‐ゆう【真麻木綿】‥ユフ
 麻で作ったゆう。万二「三輪山の山辺―短木綿」

まめん‐し【麻綿糸】
 麻に綿花をまぜて紡いだ糸。

もじ‐おり【綟織・綟子織】モヂ‥
 麻・綿糸を紗の組織とした織物。法衣・魚網などに用いた。

ゆみ‐づる【弓弦】
 弓に張る緒。麻を撚(ヨ)り合せ薬煉(クスネ)でねり続けてまとめたものを白弦
といい、更にこれに漆を塗ったものを塗弦という。〈和名抄一三〉

よう‐ふ【庸布】
 庸として納めた麻・(タエ)などの布。

たい‐ま【大麻】
 (1)伊勢神宮および諸社から授与するお札。
 (2)幣(ヌサ)の尊敬語。おおぬさ。
 (3)アサの別称。
 (4)アサから製した麻薬。栽培種の花序からとったものをガンシャ、野生の花
序や葉からとったものをマリファナ、雌株の花序と上部の葉から分泌される樹脂
を粉にしたものをハシーシュといい、総称して大麻という。喫煙すると多幸感・
開放感があり幻覚・妄想・興奮を来す。

たいま‐し【大麻糸】
 アサの繊維を原料とした糸。

たいま‐ゆ【大麻油】
 麻の種子をしぼって採る乾性油。ワニス原料・灯用・食用など。麻油。

たいま‐れき【大麻暦】
 毎年神宮司庁から頒布する暦。

いせ‐ごよみ【伊勢暦】
 伊勢神宮祭主藤浪家から奏して得た土御門家の暦の稿本によって、同神宮から
刊行した暦。神職が大麻(タイマ)とともに全国に頒布した。

おお‐ぬさ【大幣】オホ‥
 (1)大きな串につけたぬさ。祓(ハラエ)に用いる。大麻(タイマ)。古今恋「―
の引く手あまたになりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ」
 (2)(上記の歌から) 引く手あまたであること。引っぱりだこ。大和「―になり
ぬる人のかなしきは」

おはらい‐ばこ【御祓箱】‥ハラヒ‥
 (1)伊勢神宮から頒布される御祓の大麻(タイマ)を入れてある箱。江戸時代に
は、御師(オシ)から諸国の信者へ年ごとにくばって来た。
 (2)(毎年新しいのが来て古いのは不用となるから、「祓い」に「払い」をかけ
て)雇人を解雇すること。不用品を取り捨てること。御払箱。

かすが‐ふじおり【春日藤織】‥フヂ‥
 奈良市から産出する絽織物で、大麻・苧麻を原料としたもの。春日藤布(トウ
フ)。

き‐びら【生平】
 経(タテ)緯(ヨコ)とも苧麻(チヨマ)または大麻で織った粗い未晒しの麻布。さ
らし、また染色し、羽織・甚兵衛などとして用いられた。彦根市高宮などの産。
しょうが‐とう【生薑糖】シヤウ‥タウ
 氷砂糖を煮てショウガの汁を入れ板状にかたまらせた菓子。三重県伊勢市の神
宮の大麻の形をしたものが著名。しょうがいた。

じんぐう‐かんべしょ【神宮神部署】
 伊勢神宮大宮司の管理に属し、大麻および暦の作製・配布並びに御神楽・神饌
の奉奠など、奉賽に関する一切のことをつかさどった役所。これを定めた官制は
一九四六年廃止。

しん‐じ【心地・芯地】‥ヂ
 帯・襟・洋服などの芯にする布地(キレジ)。三河木綿・河内木綿・大麻織など
の厚く目の粗いもののほか、近年は合成繊維・不織布・接着心地なども用いる。
せい‐ま【製麻】
 (1)大麻・亜麻(アマ)などの靱皮繊維を木質部から分離し、紡績原料として使
用し得るように精製すること。
 (2)麻糸から麻布を製すること。

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